『退任記念展 絹谷幸二 生命の軌跡 ARS VITA ESTA・VITA ARS ESTA』ご案内

『退任記念展 絹谷幸二 生命の軌跡 ARS VITA ESTA・VITA ARS ESTA』のご案内

 

 

 絹谷幸二は1974年当時史上最年少で安井賞を受賞、2001年には日本芸術院会員に就任と最前線で制作を続けてきました。また、20年以上に渡り東京芸術大学絵画科油画で教鞭をふるい、作家としての姿勢を背中で示し、長年に渡り学生達に多大な影響を与えてきました。

 本展は、絵画作品、立体作品など約50点を一堂に集め、初期の油彩から、大学時代の卒業制作≪蒼の間隙≫、イタリア時代のフレスコ習作など、テキストなどをからめて展示するほか、その鋭い眼光が捉えた自らの顔≪自画像≫の変遷も追いかけます。安井賞、毎日芸術賞受賞という名誉に溺れることなく、独自のスタイルを激変させた青春時代。東京芸術大学から巣立ちやがて教鞭をふるうことになった絹谷の軌跡などを、同じ学び舎の美術館において辿る試みとなります。また、作品展示に留まらず、講演会を通して画家の生のメッセージも人々に届けます。

 本展は絹谷の若い時代の作品や知られざる体験談、彼の教育者としての思想などを学生だけではなく学内外のより多くの人々と共有することで、「生きた教育の場」の創出を目的としており、その意味において絹谷による東京芸術大学での最後の授業といえるでしょう。

 

 

【会期】2010年1月5日(火)~1月19日(火)

【会場】東京芸術大学大学美術館3階 展示室3・4室(3階展示室)

http://www.geidai.ac.jp/museum/

    〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8

    TEL 050-5525-2144

【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)/入場無料

【休館日】2010年1月12日(火)

主催=東京芸術大学美術学部/東京芸術大学美術館

助成=公益財団法人 野村国際文化財団

協賛=財団法人 ユニオン造形文化財団/吉野石膏株式会社

協力=株式会社 一柳アソシエイツ/株式会社 天満屋

 

■講演会のご案内■

『想像力の鍛え方』

講演:若尾文子(女優)

      石井竜也(ミュージシャン)

   大高保二郎(早稲田大学文学学術院教授)

   一柳良雄(株式会社一柳アソシエイツ 代表取締役社長&CEO)

   絹谷幸二

     中村吉右衛門は都合によりキャンセルとなりました。大変申し訳ございません。

【日時】2010年1月11日(月・祝)14:00~

【会場】東京芸術大学 美術学部中央棟第一講義室

【定員】160名(先着順)

聴講無料

 

■作家による作品解説■

【日時】1月5日(火)、10日(日)、16日(土)、17日(日)

   各日とも14:00~

【集合場所】東京芸術大学美術館 展示室3、4室(3階展示室)

参加無料

 

■半生と画業をまとめた初の単行本発売お知らせ■

『生命を刻む壁屋~画家、絹谷幸二の軌跡』(仮題)/石川健次著

古都・奈良で生まれてから東京芸術大学教授退任までを細かく取材。

学生時代から現在までの作品、50点(カラー掲載)と共に画家の人生と作風の変遷をたどる。

画家の人生を知ることで、いっそう深く作品を知ることができる一冊。

A5変形・264ページ(カラー32ページ含)

【価格】2,000円(税込)

【発売予定】2010年1月

【発行】アートヴィレッジ

※本展覧会にて先行販売、全国書店・オンラインブックストアにて注文、購入可能

 

アート・トップ2005年1月号 NO.201掲載

「身体が空中に・・・」

身体が空中に浮遊することなど、スーパーマンか孫悟空でもないとできないことだが、私は時折ふと世間から浮き上がることがある。一九七一年三月、ヴェネツィア・サンタルチア駅に初めて降り立った時の経験は今日でも鮮明に思い出される。

当時私は新婚の妻を伴い日本を発って二日目、ミラノから列車でヴェネツィアへと向かった。長旅の疲れもあったのだろうか、暗い駅舎を出て運河手前の階段上で、私の身体は確実に三〇センチメートルは浮き上がった。人もまだ動植物の域を脱していないのか・・・・。モモンガ状態となって、一瞬だが、重力が空中に放電し、合気道の気に触れたのか、訳の分からない力が私を押し上げた。

学生時代からスキューバダイビングで透明なケラマの海や、モルジブで水中の断崖絶壁を滑空していることもある。水に支えられていることも忘れるほどに中性浮力に慣れ親しんでもいる。その残像が突然現れたのか、はたまた、夢では時々浮き上がり、天空を滑空していることもあるので、この時夢と現実が混濁したのかも知れない。兎に角、浮いたのであった。

このことがあって以来、私の画業に於ける筆致は色彩を得て、自在に動くようになった。かって私をつなぎ止めていた我が国の美風といわれる勤勉さや、自己犠牲、因縁や、一生懸命頑張るといった悲壮感から抜けだし、それ以上の自由闊達な衝動が身を包むようになった。

まさにイタリアの気風が私をとりこにした瞬間だった。 

 

天満屋創業180周年記念巡回展-絹谷幸二の世界展

 このたび、絹谷幸二・新作個展を天満屋創業180周年記念の一環として開催させていただきます。

今展では、瀬戸内・山陽・山陰取材によるモチーフを含めた、意欲的な作品を展示予定です。

2009年8月26日産経新聞掲載『アートな匙加減』より

古代の夢たどる旅

 

 この夏は都会の喧騒を逃れて、京都を出発地点に琵琶湖の長浜から竹生島、天橋立、瀬戸内海、そして出雲、大山という地図を8の字に回る長いスケッチ旅行に出た。歴史と文物の宝庫、山陰山陽の魅力は、その地に住む人々のまなざしとともにすべてが輝いてまばゆく、感動的であった。

 ことに旅の始め、滋賀県高月町の渡岸寺で出合った国宝、木造十一面観音立像からは、筆舌に尽くしがたい衝撃を受けた。美しい。そのお姿は、湖畔を渡る微風が半歩踏み出す足下の衣をなで、前面に身を移そうとする刹那、右かかとが一瞬浮く、その瞬間をとらえている。

 同時に体はわずかに左右にしなり、その電磁波が心に伝わり、慈悲の発心をとらえているその見事さ。圧巻である。イタリア・ルネッサンスの父、ジョットーが中世の硬直する教会に、新風を送り届けたのと同様以上の強い意志や「気配」が伝わってくる。「前に」「動き出せ」「むさぼるな」「描け」「発想しろ」と仏は私に自愛を持って語りかけてくる。

 竹生島には長浜から舟で渡るが、ここは鳥たちが住む世にも不思議な杜である。島は改定100メートルから直立し、琵琶湖で最も深い湖北にある。東に迫る湖崖の底は、広大な範囲に縄文土器がほぼ無傷のまま出土する。葛籠尾崎湖底遺跡が現存し、しかも湖底には大型の淡水魚が生存しているという。

 

 私も芸大の同僚の先生から釣り上げたサケの写真を見せてもらったことがある。もしや、春立つころ、奈良二月堂のお水取りの水が、あの十一面観音の長すぎる右手が指し示す地中深く、若狭の国から流れてくるというのは事実ではないか、というロマンが頭を駆け巡った。

 琵琶湖の水面の高さが大阪城の鯱(しゃちほこ)の高さと同位置と聞けば、100メートル下のどこかで大和の国に入る地下水路があったとしても不思議ではない。夢は膨らみ、古代の夢をたどりながら天橋立に向かった。橋立では、雪舟の目線の立ち位置で、現在の私ならこのように描くのだ、という勝負かなわぬまでの思いで目の前の風景と対峙する。しばらく描き続けた疲労の後、伊根の船宿を回り山陽道を下る。

 師走9日、天満屋岡山店で開催する新作小品展の取材を倉敷から始めた。中学2年生のころ、一人夜行列車に乗り、訪ねた林武先生の「梳る女(くしげずるおんな)」と再会し、画家となる思いを募らせた青白き若き日のことを回想した。「私を林先生のおられる芸大に導いたのはこの絵の女性ではなかったのか」と…。

 倉敷の児島から広島の鞆(とも)の浦で写生をするが、この美しい港に無粋な橋を架けるという。橋の建設に反対する署名に家族ともども喜んで署名する。広島では早朝、原爆ドームで黙祷し、江田島を訪れた帰路、日本の兵士たちが出港した宇品港で夕日が炎々と瀬戸の海を染めるのをフェリーボートからしみじみと見つめた。

 

 取材の旅はその後、石見銀山、神々が集う出雲大社、大山と長々続くが、過ぎし日のことも含めてすべての出来事が私の描く画面の中に一つでも描き出されれば、画人として望外の喜びだ、と心の中に秘めて思うのだった。

 

 

≪会場ご案内≫

天満屋 岡山本店(http://www.tenmaya.co.jp/okayama/index.html

会期:2009年12月9日(水)~12月12日(火)

 

天満屋 高松店(http://www.tenmaya.co.jp/takamatsu/index.html

会期:2010年1月2日(土)~1月12日(火)

 

天満屋 米子店(http://www.tenmaya.co.jp/yonago/index.html

会期:2010年1月19日(火)~1月25日(月)

 

天満屋 福山店(http://www.tenmaya.co.jp/fukuyama/index.html

会期:2010年2月16日(火)~2月22日(月)

 

天満屋 広島店(http://www.tenmaya.co.jp/hacchobori/index.html

会期:2010年3月3日(水)~3月9日(火)

 

 

 

 

絹谷幸二展<天空の夢>

 

天空の菩薩などを描いてみる

絹谷幸二

前世紀ニーチェが“宗教は死んだ”と言って以来、世の中は何となく分厚さが無くなって、“この世”の話ばかりが世間を歩き始めた。科学が全ての正体を暴露したのだろうか・・・。あの世の話は古臭く因習に満ちてほとんど“うそ”に近い存在と成り下がってしまったのだろうか。

 そこで、富嶽に龍などを描いてみる。そして今さらに、天空に菩薩と月下の吉野山などを描いてみた。絵空事ゆえ、いかように描いても、科学や社会に対して責任などという厄介なものを持つ必要も無い。絵画の世界には本当に自由という翼がある。自由自在、ピカソであれ、菩薩天空であれ、時間や空間・言葉や国境の障害は無い。限りなく“うそ”に近い絵空事の世界であり、手で触れることもできない平面状の無限大の空間なのだ。天国や地獄があるというまことしやかな発想や、鯉が天に昇り、しだいに龍の顔になっていくなど、荒唐無稽な話も実に楽しいではないか。天空に菩薩が出現し、あの世には桜咲く天国があるという思いも。思いが現実の形となって、天空を行く地球そのものこそが実は天国であると考えてみれば、うそのような夢が現実とすり変わり、転衣して実に楽しい発想となりうるのではなかろうか。

 ニーチェが言って滅んでしまったと思われたあの世の世界と相いれないと考えられた科学や物の世界が、“信じる”というキーワードで結ばれ、戦いに明け暮れた前世紀の衣を脱いで、新しい地球を創造する21世紀と今後はなるべきなのだろう。

(注:「転衣」(てんね)は衣を脱いで、急にぱっと変わるという宗教用語)

〔『アート・トップ』2003年11月号(No.194)連載「ことばのデッサン」より

 

 

 

天空の調 193.9×259.1cm 

 

≪会場・会期≫

     東京展

2003年11月13日-11月18日

東京日本橋髙島屋8階ギャラリー

 

     大阪展

2003年11月26日-12月2日

大阪・なんば髙島屋6階美術画廊

 

     京都展

2003年12月3日-12月9日

京都四条・髙島屋6階美術画廊

 

     高崎展

2003年12月11日-12月16日

高崎髙島屋5階アートギャラリー

 

     横浜展

2003年12月17日-12月23日                                                                      ≪ウェディングケーキ蓬莱山≫

横浜髙島屋7階美術画廊

 

     岡山展

2004年1月7日-1月13日

岡山髙島屋7階美術画廊

 

     岐阜展

2004年1月14日-1月20日

岐阜髙島屋9階美術画廊

 

     名古屋展

2004年1月21日-1月28日

ジェイアール名古屋髙島屋10階美術画廊

 

     米子展

2004年2月4日-2月10日

米子髙島屋本館4階美術サロン

 

                                                          ≪モンブランの恋人≫

 

 

 

黙示録-絹谷幸二

 

歴史の転換期ともいえる今日、

どのようなメッセージを発信し、未来へ託そうとしているのか

本展ではこの点に焦点をあて、

イタリア留学時代から最新作までの絵画に立体、素画を加えた96点で、絹谷幸二の世界を紹介。

 

黙示録-絹谷幸二

2003年5月17日-7月13日

主催:世田谷美術館

 

世田谷美術館個展によせて

                             

 私は、生かされて描き続けられる幸運に喜びながら、今日まで我を忘れてただひたすらに描き続けてまいりました。

 思えば、芸大卒業制作で≪蒼の間隙≫を描いたあの瞬間が、つい昨日のことの様ですが、この度、新緑あふれる世田谷美術館でその一瞬と思われる時の狭間で描き続けた作品を一同に展示させていただくこととなりました。

 足跡を振りかえりつつ、怒涛のように流れゆく時間に今後どの様に対峙すれば良いのか、反省と新たな決意をうながすチャンスをいただきましたことに深く感謝いたします。

 所で、若い頃の私は描くことは猿や鳥、花や魚には出来ない人間だけの特権であるとうぬぼれて考えていました。しかし、40才の頃タヒチ島にゴーギャンを訪ねて渡りました時、そこで目にした花・鳥・魚達は満艦飾のいでたちで自然の気象に動ずることなく生々とし、裸のずるむけの私はいかにもみすぼらしい姿でした。彼ら人間以外の動植物の美しさは、人間に見せるための遊びや余技などといった甘い考えではさらさら無いのでしょう。

 彼らは生存のためのギリギリの必須の条件として美を発揮している表現者なのではないでしょうか。身体を支持体として生存権をリスクテーキングしている姿、その美しさと彼らの生きざまこそが芸術の正体なのではないか・・・とも近頃考えています。

 私は自信のアフレスコ画画面や麻布カンヴァス、スチロフォームなどを借りて、少しでも花や鳥、魚達の仲間に入れてもらおうと考えております。

 限りある時の中で彼ら先達に学び、少しでも近づきたいと思っています。

                                      絹谷幸二

 

 

≪展覧会テーマ≫

 

.黙示-世界へ

世界に恐怖と緊張をもたらした冷戦が終わってから十数年。

21世紀は平和の時代だと、誰もがそう思っていたはずだ。

けれども、現実は私たちの甘い期待をみごとに打ち砕いた。

中東情勢や北朝鮮問題を持ち出すまでもなく、

世界はあらたな恐怖の前にますます混迷を深めている。

界に向かって、世界への祈りをこめて私の思いを発したい。 

 

 

(炎炎明王夢譚 [2001])

 

 

(菩薩心 [2003] ) 

 

 

(富嶽龍神飛翔 [作品の一部・2003] )

 

 

いつのころからか、赤を多用した強烈な色彩の私の絵に、幼いころから親しんできた仏の世界が立ち現れるようになってきた。それはおそらく私の幼いころの記憶の投影であると同時に、現代に生きるものとしての無常観、さらには内奥に潜む菩薩心の表出でもあるのだろう。「仏の道」は奥深い。(「風の道 仏の道」より)

 

 

 

 

 

 

 

 

.黙示-日本へ

戦後。高度成長に沸き、自信と活力に満ち溢れていた

あの日本はどこへ行ってしまったのだろうか。

バブル崩壊から十数年を経て、なお次代への明確な針路を見出しえず

、誇りも自信も失ったまま、衰弱の深き淵へと落ち込んでいくかに見える日本。

復活の願いをこめて、

同時代の日本と日本人へエールを送りたい。

 

(東京の太陽(隅田川) [作品一部・1991] )

私はアトリエを抜け出し、浅草方面から水上バスに乗って、

銀座の方に出ることがある。川面を渡る風が心地よい。

モノトーンのビル街東京に太陽が昇ってくるのを見ていると、

皮膚からふつふつと喜びが沸きいで、元気がでてくる。

生かされている喜びに浸ることができる。

 

 

 

 

 

.航跡

青い海に真っ白に延びる航跡。

ここでは、私の航跡を、

「蒼」、「私」、「人と顔」、「エロスと死」

4つのテーマに分けて振り返る

  

(アンジェラと蒼い空Ⅱ[1976] )

 

こんなに青い空が広がっているのに・・・・・。

連だこがピューンと飛んでいる大空の下で、アンジェラ、なぜあなたは、涙をながすのですか。

 

あまりにも青い空が、宇宙につきぬけているのがこわいのですか・・・・・。

いいえ、そうではないんです。

こんなに海と空が美しいのに、人はなぜ、バクダンを破裂させたりするのでしょう。

薔薇の花は、愛するアンジェラの足元から壊れていく形を支えるように、空に向かって伸びていますよ。

飛行機の爆音とミサイルのボタンを、もう誰もいたずらしてはいけません。

 

こんなに風が心地よく、海の上の教会の鐘楼が豊かな心の響きを伝えてくれているのですから・・・・・。

 

(子ども美術館22 かべにえがく-壁画の世界- 絹谷幸二より)

 

髙島屋全国巡回 絹谷幸二展「情熱の色・歓喜のまなざし」 

御礼 絹谷幸二展は全会場で総入場者数11万人を突破しました。

   皆様お忙しい中、ご来場いただき誠にありがとうございました。

 

髙島屋美術部創設100周年記念 絹谷幸二展ご案内

このたび、絹谷幸二・新作個展を髙島屋美術部創設百周年記念の一環として開催させていただきます。
今展では、歓喜あふれる祭りの大作の数々や、生命と色彩の象徴ともいえる花、ユニークで煌びやかな富士、鮮烈で楽しいヴェネツィア風景など展示いたします。
文化祭事-情熱の色・歓喜のまなざし-では大作と立体を約45点、画廊での新作を合わせ大作から小品約60点、合計100点を展観いたします。この機会に是非ともご高覧賜りますよう、ご案内申し上げます。

 

 横浜高島屋ギャラリー(8階)(横浜高島屋ホームページ・ご案内)
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」

 主催:朝日新聞社・神奈川新聞社
 会期:2009年2月4日(水)~2月16日(月)
 入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
 ギャラリートーク&サイン会:2009年2月8日(日)、11日(水・祝)、15日(日) 各14時~


横浜高島屋7階美術画廊
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2009年2月4日(水)~2月10日(火)
 

 

ただただ無心に絵を描いて来ましたが、はっと気づけば約半世紀があっという間に過ぎていました。若い頃「絵で生活などできるわけがない」と多くの皆様から忠告をいただきましたが「馬に念仏、馬耳東風」でした。絵の具とキャンパスがあれば幸福で、時々に苦しいこともありましたが、創作の苦しみもまた楽しく、時を忘れました。

 年齢や服装や日々の食事など日常のことは一切気に留めず、趣味のゴルフ、釣り、野球も上手にならないことを心がけて来ましたが、絵だけは特別です。

 

 「テクニックにおぼれてはいけない」と説く鳥海青児先生にも、また東京藝術大学で学んだそれとは反対にアカデミックな画風の小磯良平先生にも、共に自由な心で描くことの大切さを教えていただきました。私はのびのびと絵を描きつつ、4人の子供をこの世に連れて来ました。この地球は地獄も多少はありますが、全宇宙の中で唯一の天国または浄土と思っています。

 

 近頃、我々地球上の人間や植物、動物たちにとって“色彩”とは実に大切なものだと思うようになりました。たとえば砂漠や宇宙、深海など色の無い世界では、生物の生存が難しくなります。人間も年老いていけば烏の濡れ落ち羽色をまといがちとなり、戦争になれば国防色が主流となり、人が死ねばその葬儀は白黒に覆われるといったように、色彩が薄れるのは危機的状況に陥る一つの証拠なのです。昨今、理性や理知という名のもとに灰色調の世界が一部でもてはやされていますが私は賛同できません。

 

 頭の部分だけが働いているインドア(indoor)の日常ではなく、アウトドア(outdoor)で催される祭り-そこに光り輝く、人々の元気な姿やはためく華麗な色彩は人類の初心を思い起こさせます。こういった活気ある人間本来の姿を取り戻すことこそ、美しい鳥は花と同列になり、美しい自然に帰ることです。

 

 色彩があふれるところは、緑があり、花があり、命を育んでくれる平和で喜びに満ちた場所-私はそういう確信のもとに元気あふれる絵を描いています。

 

 自身の絵を描き終えて気がつけば、その時々の思いは絵に写し止められていました。このたび朝日新聞社と髙島屋さんのご厚意で、これまでの作品を発表し振り返るチャンスをいただきました。この50年、いまだ意が定まらず暗中模索しておりますが、これからが正念場。いつの日か「芸術はこれぞ」という一家言を残したいものです。私の迷いの軌跡をご高覧いただければ幸いです。

 

PDF: 朝日新聞掲載記事(2008年9月2日)

PDF: 朝日新聞掲載の展覧会のご案内(2008年9月2日)

 

≪日本橋高島屋 「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」の様子≫ 

 

 

 

 

 

 

 

アサヒコム:絹谷幸二展覧会図録の通信販売ページ 

2008年発行、120ページ 税込価格 2,000円

絹谷幸二展ー情熱の色・歓喜のまなざしに寄せて 絹谷幸二

壁に向かって立つ人 黒井千次・作家

絹谷幸二の祝祭絵画 鍵岡正謹・岡山県立美術館長

年譜、文献ほか

 

≪日本橋高島屋 描き下ろしの新作展の様子≫

 

 

 

 ≪会場ご案内≫
1. 日本橋高島屋東京店 (http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/) 
(1)日本橋髙島屋東京店 8階ホール
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」
 主催:朝日新聞社
 会期:2008年9月3日(水)~9月15日(月)
  入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
 ギャラリートーク&サイン会:9月3日(水)、7日(日)、14日(日) 各14時~
(2)日本橋髙島屋東京店 6階美術画廊 
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2008年9月3日(水)~9月9日(火)

 

2. 高島屋京都店 (http://www.takashimaya.co.jp/kyoto/index.html?header) 
(1)高島屋京都店7階グランドホール
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」
 主催:朝日新聞社
 会期:2008年9月24日(水)~10月6日(月)
 入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
 ギャラリートーク&サイン会:9月24日(水)、28日(日) 各14時~
(2)高島屋京都店6階美術画廊 
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2008年9月24日(水)~9月30日(火)

 

3. 高島屋大阪店 (http://www.takashimaya.co.jp/osaka/index.html?header) 
(1)高島屋大阪店7階グランドホール
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」
 主催:朝日新聞社
 会期:2008年10月8日(水)~10月20日(月)
 入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
 ギャラリートーク&サイン会:10月8日(水)、12日(日) 各14時~
(2)高島屋大阪店6階美術画廊  
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2008年10月15日(水)~10月21日(火)

 

4. JR名古屋高島屋 (http://www.jr-takashimaya.co.jp/) 
(1)JR名古屋高島屋10階特設会場
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」
 主催:朝日新聞社
 会期:2008年12月28日(日)~2009年1月12日(月)
 入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
 ギャラリートーク&サイン会:2009年1月4日(日)、11日(日) 各14時~
(2)JR名古屋高島屋10階美術画廊
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2009年1月2日(金)~1月13日(火)

 

5. 高島屋横浜店 (http://www.takashimaya.co.jp/yokohama/index.html?header) 
(1)高島屋横浜店8階ギャラリー
 内容:「情熱の色・歓喜のまなざし(文化催事)」
 主催:朝日新聞社
 会期:2009年2月4日(水)~2月16日(月)
 入場料(税込):一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料 
 ギャラリートーク&サイン会:未定
(2)高島屋横浜店7階美術画廊
 内容:描き下ろしの新作展
 会期:2009年2月4日(水)~2月10日(火)

 

 

 

 

展覧会一覧

絹谷幸二展<情熱の色・歓喜のまなざし> 2008年9月

 (高島屋美術部創設100周年記念)

絹谷幸二・幸太展<双穹の翼> 日動画廊 2007年4月

絹谷幸二ワールド 日本橋高島屋 2006年6月

絹谷幸二展<イタリアを描く> 日本橋三越本店 2006年3月

高輪会・絹谷幸二展 東京高輪プリンスホテル 2005年11月

絹谷幸二展 大阪・心斎橋そごう 2005年9月

絹谷幸二展<夢みる力は生きる力> 守口・京阪百貨店 2005年9月

会社創立95周年記念 絹谷幸二展<天空の宴> 松坂屋美術部 2005年4月

絹谷幸二展<元気が湧き、夢がふくらむ無限大の空間> 東急百貨店 2005年3月 

絹谷幸二新作展 広島そごう 2004年12月

東美特別展・絹谷幸二新作展 東京美術倶楽部 2004年10月

絹谷幸二展<天空の夢> 高島屋美術部 2003年11月

絹谷幸二展<現代画家デッサン・シリーズ> 朝日新聞社 2003年5月

黙示録―絹谷幸二 世田谷美術館 2003年5月

絹谷幸二展<愛と希望と生命の讃歌> 香林坊大和 2002年8月

絹谷幸二展<天祥大地> 日本橋三越本店 2002年1月

絹谷幸二展<会社創立90周年記念> 松坂屋美術部 20004 

絹谷幸二展 宮崎県立美術館 2000年4月

絹谷幸二展 高輪プリンス 1999年11月

絹谷幸二展<絹本金地に岩彩で描く> 岡崎画廊 1999年9月

絹谷幸二展<明日に向かって> 天満屋福山店 1999年9月

絹谷幸二版画展 ギャラリー・ラ・ルーシュ 1999年1月

絹谷幸二展<愛の翼> 日本橋高島屋ほか 1998年5月

絹谷幸二展 ニューヨーク・スペース・アンタイトルド 1997年12月

絹谷幸二展 名古屋・伽藍洞ギャラリー 1997年9月

絹谷幸二展 新潟市美術館ほか 1997年4月

絹谷幸二の宇宙展 日本橋三越本店ほか 1996年12月

絹谷幸二展<愛と希望と生命の讃歌> いよてつそごう 1996年11月

絹谷幸二展 名古屋松坂屋本店ほか 1996年3月

絹谷幸二作品展 ニューヨーク・高島屋ギャラリー 1993年11月

奈良ゆかりの作家<柳原義達、井上武吉、上村淳之、絹谷幸二の世界>

 奈良県立美術館 1993年4月

絹谷幸二展 名古屋松坂屋本店 1992年6月

絹谷幸二展 日本橋高島屋本店ほか 1991年11月

絹谷幸二 ミンモ・パラディーノ二人展 ピクチャーズ 1991年10月

絹谷幸二展 東京アートエキスポ 1991年4月

絹谷幸二の2.5次元展 岡崎画廊 1990年12月

絹谷幸二展 ソウル・ドゥソン画廊 1990年11月

絹谷幸二展 ヴェネツィア・カバリーノ画廊 1990年8月

絹谷幸二展 バーゼル・アートフェア 1990年7月

絹谷幸二展<愛と生の歓び> 伊勢丹美術館 1990年5月

絹谷幸二展<ほとばしる情熱> 日動画廊 1989年11月

絹谷幸二展<愛と詩とエロス> フジヰ画廊 1988年11月

絹谷幸二ドローイング展 青山日本画廊 1988年11月

絹谷幸二新作展 京都・蔵丘洞画廊 1988年8月

絹谷幸二展 パリ・日動画廊 1988年6月

絹谷幸二小品展 銀座新生堂 1988年5月

絹谷幸二小品展 池袋西武百貨店 1988年2月

絹谷幸二自選展<豊饒な色彩・熱い想い>西武アート・フォーラム1988年2月

絹谷幸二自選展 名古屋松坂屋本店ほか 1987年10月

絹谷幸二展 京都蔵丘洞画廊 1986年6月

絹谷幸二個展 日本橋高島屋本店ほか 1985年11月

絹谷幸二展 岡山天満屋 19845

絹谷幸二展<インド・ガンダーラ> 池袋西武百貨店 1984年4月

絹谷幸二展 日動画廊 198311

絹谷幸二・花と裸婦展 広島天満屋 1983年9月

絹谷幸二展・裸婦とデッサン展 三重県亀谷美術館 1983年8月

明日への希望―洋画の5人―展 銀座松屋・大阪大丸心斎橋店 1983年5月

絹谷幸二・裸婦を描くデッサン展 上野松坂屋 1983年2月

絹谷幸二自選展 フジヰ画廊 1982年11月

「戦後美術35年の歩み」展 東京美術センター 1981年11月

絹谷幸二展<私の宝石箱> フジヰ画廊 1981年11月

絹谷幸二新作展 銀座ワールドアートサロン 1981年5月

絹谷幸二新作展 大阪ギャラリー風 1980年12月

絹谷幸二展 名古屋伽藍洞ギャラリー 1980年7月

絹谷幸二展 銀座日動画廊 197910

絹谷幸二滞欧作品展 西武百貨店 1979年4月

絹谷幸二展 銀座ワールドアートサロン 1977年7月

絹谷幸二展 大阪ギャラリー風 1977年6月

絹谷幸二展 名古屋伽藍洞ギャラリー 1976年12月

絹谷幸二作品展 東京セントラル美術館 1976年11月

絹谷幸二展 福山イマヰ画廊 1975年8月

絹谷幸二展 奈良文化会館 1974年5月

絹谷幸二滞欧作品展 銀座彩壷堂 1973年11月

絹谷幸二展 ヴェネツィア市立美術館 1973年9月

絹谷幸二展 ヴェネツィア・カヴァリーノ画廊 1973年1月

絹谷幸二展 銀座資生堂ギャラリー 1970年7月

 

 

 

絹谷幸二・幸太展<双穹の翼>

絹谷幸二・幸太(長男・彫刻家)が、『サーカス』をテーマに初めて競作する展覧会。

 

 

<会場・会期>

2007年4月3日(火)~4月13日(金) 日動画廊 銀座本店
2007年4月17日(火)~4月26日(木) 日動画廊 名古屋店

 

 

絹谷幸二展<イタリアを描く>

イタリア留学時代以来30年余にわたり構想を練り続けてきた「イタリア」をテーマにした新作を中心に約40点を紹介。イタリアにすべての西洋の元があると考え、イタリアにこだわり続けてきた絹谷幸二の現在とこれからを展望する展覧会。 

≪わがこころの旅路-イタリア≫

 

絹谷幸二

 

 絵は、絵描きの夢や希望、苦悩や迷走、あるいは宿命までも映し出す鏡のようなものです。背景にはその時代が垣間見られますが、私の半世紀誓い捜索の中にも、おもしろい鏡がたくさんありました。

 思えば、まだ若き日に、留学でイタリアとの出会いを果たせたのは、幸せでした。

 1971年、ヴェネツィア、サンタルチア駅に降り立ったとき、一瞬、体が宙に5センチほども浮く感覚を味わったことを、いまでも鮮烈に記憶しています。それは、空気が違うという直感でした。それまでの私自身を制御し、心の底で律し続けていた日本的なるものが一度に飛び去り、かわってイタリアの光彩と自由奔放な生への歓喜が私を包みこみました。赤でも青でも自由に取り入れられる気分になり、以後、絵に色彩があふれるようになりました。

 しかし、さらに深く思えば、わが国とは反語関係にあるほど異なる地で私が見つめ続けたのは、私の生家、奈良・興福寺、猿沢の池のほとりで聴いた南円堂の梵鐘の音と重なり、私がイタリアで学んだアフレスコ画は、法隆寺の壁画を思うことで、DNAの中に眠っていた「青丹よし奈良」の色を甦らせてくれました。そして短絡的には相離反するかのごとき両者が、実は響きあい、一つとなることを教えてくれたといえましょう。

 それまでの私は、絵が描けることこそ人間が動物から分かれた証であると自惚れておりましたが、アルタミラやラスコーにつながるアフレスコ画を学んで、花や鳥たちも、実は彼等自身の体を支持体にするアーチストなのだと知りました。生の根源に立ちかえってみれば、人間とはいかにみすぼらしく、劣等感にみちたものであるかということに気づきました。

 以来、私は、描くことで花や鳥の色彩の仲間入りをさせてもらうのだという気持ちで制作に努め、光と色彩の持つ無限大の力と夢を、わが絵に宿らせたいと念願しています。

 

 その途上にあります今、関係各位のご好意により、イタリアの旅の作品を主体に「絹谷幸二展」開催の運びとなりました。望外の喜びとするところであります。

 

≪作品のテーマについてのご紹介≫

Ⅰ 生のアートパフォーマンス-花 

 薔薇・春の妖精130.3×162.1㎝

  花たちの美は、ただ見目麗しくあるがための営みではなく

生存を守るための大切なアートパフォーマンスだ。

それゆえに香り高く、愛の翼のごとく優しく、毅い。

私もまた、四季の循環の中で、花のごとく咲きたい。

花になるため、自然に還るため、命がけで花を描く。

 

Ⅱ 海に伸びる黄金の右腕-イタリア

文明の母なる地中海に浮かぶイタリア半島は、

歴史の時空に手を差しのべる黄金の右腕だ。

時はあまりにも無残だから、芸術は時ごとの姿を美に昇華して

私たちに伝えてくれる。イタリアが、大地と人に刻んだ

明るさや楽しさを、光と共に描いて時に託す。

 

Ⅲ 光と翳のドラマの主-人間

イタリア人ほど、明るく人間味あふれる人種も少ないと思うが、

海洋民族である私たちもまた、同じ明るさをうちに宿す。

しかし、明るければ明るいほど、その翳は深く、昏い。

私は、光と闇を同時に見つめられる双眼鏡を覗きながら

絵を描いていきたいと思っている。特に人を描くとき・・・。

 

 

 

 

≪会場・会期≫

 

[東京展]                 

2006年4月18日-4月30日        

日本橋三越本店 新館7回ギャラリー    

主催:日本経済新聞社           

後援:外務省/イタリア大使館       

 

[松山展]                  

2006年5月23日-6月2日        

松山三越7階特設会場            

主催:愛媛新聞社/日本経済新聞社      

後援:外務省/イタリア大使館        

 

[名古屋展]              

2006年8月15日-8月20日         

名古屋栄三越7階催物会場          

主催:中日新聞社/日本経済新聞社      

後援:外務省/イタリア大使館      

 

[仙台展]

2006年10月10日-10月16日

仙台三越7階ホール

主催:ミヤギテレビ/河北新報社/日本経済新聞社

後援:外務省/イタリア大使館

 

[新潟展]

2006年10月24日-10月29日

新潟三越7階催物会場

主催:新潟日報社/日本経済新聞社

後援:外務省/イタリア大使館

 

[札幌展]

2007年1月16日-1月22日

札幌三越10階特別会場 

主催:北海道新聞社/日本経済新聞社

後援:外務省/イタリア大使館

 

[福岡展]

2007年3月13日-3月18日

福岡三越9階三越ギャラリー

主催:西日本新聞社/日本経済新聞社

後援:外務省/イタリア大使館