
2010年上海万国博覧会「日本産業館」
Better Life from JAPAN 日本の創るよい暮らし
5月1日~10月31日開催中の上海万国博覧会「日本産業館」のパビリオン入口にLEDを使った天井画を手がけました。日本産業館は「リユース(再利用)・スペース(超空間)・パルス(脈動)」をコンセプトに、江南造船工場の作業場を改造して作られたものです。大天井画LED『日月天飛翔』(画:絹谷幸二/提供:阪和興業)は、3カ月かけて制作されました。この絵画はLED球による光の点画で光と影を利用し、地上20m離れた空中に映し出されています。

≪日月天飛翔≫(原画)

【関連リンク】
2010年上海万国博覧会「日本産業館」公式ホームページ
http://www.shanghai-expo-sangyoukan.jp/
【アートな匙加減】躍動感を失った日本(5月23日産経新聞掲載)
http://www.artstyle.jp/data/?p=886
青山劇場 壁画『光ふる時』 230×1700cm (1985年制作)

壁画 文明にかける橋(1983年 240×1100アフレスコ)
丸亀市麻田総合病院にて製作中の様子

アフレスコ画は、漆喰(石灰)の壁に顔料の粉末を水で溶いて作画する壁画法で、イタリアの教会などの壁に描かれているものです。
アフレスコは、ヴォン・アフレスコ(湿式画法)とアフレスコ・セッコ(乾式画法)に大別されますが、一般にアフレスコというばあい湿式画法をさしますし、私が描いている画法もこの方法ですので、この画法について述べることにします。(壁画にはこのほか、ポンペイの壁画のようなアンカウスティックという、蜜蝋をつかって描く方法などもあります。)
アフレスコは、消石灰(石灰岩を高熱で焼いてできた生石灰に水をかけるとできる白色の粉末)と川砂、1対1の割合に水をまぜた石炭モルタルの上に、顔料の粉末に水だけ溶いて描きます。
これは、ただ一つの条件さえみたせば、誰にでも簡単に壁に絵を描くことができます。その一つの条件とは、壁が乾ききるまえに絵を仕上げるということです。つまりレンガ壁などの上に、前述の石灰モルタルを左官し、まだ壁がぬれている間にすばやく描きおえなければなりません。
大きい画面のばあいは、壁が水をふくみ生乾きの状態のうちに絵が描けると思う分量だけ左官して描きます。そして、そこをひとまず完成させてからつぎの分量を注意深くぬりついで作画し、何度かにわけて大画面を仕上げます。
この生乾きの状態は約一日ですが、これをジョルナータといっています。ミケランジェロが描いたシスティナ礼拝堂の壁画の細部をよく見ると、このジョルナータの壁のぬりついだ部分がよくわかります。
では、なぜ壁が乾ききるまえに描かなければならないのでしょうか。
アフレスコは、なんら接着剤(にかわやメディウム)が入っていない顔料の粉末そのものを水で溶いて描くだけですから、もし壁が乾いてしまったあとでは、絵具は壁に定着しません。
ただ壁がかわくまえであれば、絵具は壁のなかにたてに吸い込まれていれずみのように浸透し、自然に壁に定着し剥落することがありません。
もう少し詳しく述べますと、生乾きの壁は、砂漠に立ちのどがからからのあなたのように、水分をもうれつに欲しがっています。
しかしこの消石灰モルタルは、その本体から水は蒸発しています。そして、生乾きから固まってモルタル本来の姿である石灰岩に化学変化する過程で、水と炭酸ガスを必然的に望みます。つまり水でさえあれば、なんでも吸い込みたい状態になっています。ここに水で溶いた顔料をおくりこむと、水とともに顔料が壁にたてに浸透します。
ジョルナータすなわち一日が終わる寸前に、消石灰モルタルのもっとも小さい透明な微粒子(石灰岩そのものをつなぐもの。鍾乳洞の乳のようなもの。無水炭酸塩[アニドリデカルボニカ])が顔料の粒子を自然におおうような状態で、空気とふれる壁の上皮に多く集まって析出[せきしゅつ]します。
この一日が終わる瞬間(つまり生乾きの壁が乾ききる瞬間)は、非常に激烈でドラマチックです。あんなに水分を望んでいた壁が急にパッタリと水をうけつけなくなります。すなわち無水炭酸塩の定着皮膜が完成する瞬間なのです。これ以後、前述したように壁に絵を描くことはできません。
このように、アフレスコは劇的に瞬間を所有し、水や炭酸ガスを呼吸し、石灰岩が生石灰、消石灰をへて再び石灰岩にもどってゆくまるで生き物のようなものです。つまり、いつでも描ける布キャンパスとちがって、生きている壁にむかって私もまた、生きて対峙しています。
1983年3月 絹谷幸二
(かべにえがく-壁画の世界-子ども美術館 ポプラ社 より抜粋)
池袋芸術劇場エントランスホール天井壁画 径450 (1990年制作)

みなとみらい線横浜駅に設置(寄贈・崎陽軒)される
巨大陶壁画≪VIVA YOKOHAMA≫の原画を制作(2004年2月)

東京メトロ副都心線の渋谷駅にパブリックアート『きらきら渋谷』を設置(2008年6月14日)

文部省唱歌「春の小川」はその昔、里山で生まれたが、
現代の「春の小川」は渋谷の街だ。
新しいエネルギーと文化の香りがいつも漂って
この楽園に人々は集まり、より美しく、より楽しく、時を謳歌する。
街全体が咲けよ、咲けよと、遊べ、遊べと、歌え、歌えよ
と招いているようだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
設置場所:副都心線、B3F・池袋方改札外通路
素材:陶板、寸法:W10,000mm×H3,900mm
協賛:東急グループ
制作:財団法人日本交通文化協会/クレアーレ現代壁画研究所
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・